認知症予防に効果的な栄養素

R-αリポ酸

R-αリポ酸の脳機能改善にかんする論文が2013年に二つ発表されました。
ひとつは、①『血管の病』である脳血管性認知症に対するR-αリポ酸の効果であり、もうひとつは、②『脳の病』であるアルツハイマー型認知症に対するR-αリポ酸の効果です。
こちらをご紹介します。

①脳血管性認知症に対するR-αリポ酸の効果

イタリアのTomassoniらのグループの報告です。International Journal of Molecular Scienceに2013年2月に発表されています。

健常の状態のラット(20週齢)と脳血管障害モデルのラット(20週齢)の両方に30日間毎日、それぞれのラットにαリポ酸を腹腔内注射しました。

【発見1】脳血管障害を持つラットの酸化ストレスが軽減されることが判明しました。
しかも、天然型のR-αリポ酸のみで効果がありました。

【発見2】
続いて、グリア細胞線維酸性タンパク質(GFAP, glial fibrillary acidic protein)による評価を行いました。

GFAPとは?
脳の損傷、認知症などの神経疾患があるとGFAPの発現が増加することがわかっています。
GFAPのサイズが小さくなる ⇒ 脳の損傷や認知症が改善されている。
GFAPのサイズが大きくなる ⇒ 脳の損傷や認知症が進行している。

天然型であるR-αリポ酸を投与したラットの脳のGFAPサイズは有意に減少していました。

R-αリポ酸は、脳血管性認知症に対する改善効果がみられた!

ここでひとつ気をつけないといけない事実があります。
R体以外のラセミ体やS体のαリポ酸は、逆に認知症の悪化につながることがわかりました。

認知症予防のために、αリポ酸を摂取する方は、R体かどうかということをきちんと調べてから摂取してください。

&#9313『脳の病』であるアルツハイマー型認知症に対するR-αリポ酸の効果

米国の南カリフォルニア大学のSanchetiらのグループの報告です。PLOS ONEに2013年7月に発表されています。

アルツハイマー型のモデルマウス(約4ヵ月齢から神経細胞内のアミロイドβが蓄積し、記憶力低下が生じてきている)を『R-αリポ酸の水溶液を飲ませたグループ』と『水のみを飲ませたグループ』によって比較しました。

【発見】
脳内へのグルコース取り込み低下の改善!
②GSK3βを不活性化! ⇒ アミロイドβが引き起こす神経毒性の抑制
アルツハイマーによって低下したニューロンのシナプス応答の改善
上記3つのことがわかりました。

R-αリポ酸はアルツハイマー型認知症にも改善効果が充分にみられた。

①と②の論文により、R−αリポ酸は
脳血管性認知症とアルツハイマー型認知症の両方に効果的。

(ただし、αリポ酸の種類を間違えると逆効果があるので、天然型のR体を選んでください。)