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脳を作り神経幹細胞の運命を決定する新規タンパク質を発見:熊本大学(2018.10.11)

 熊本大学(大学院生命科学研究部分子病理学分野)の研究グループは、脳を作る重要な神経細胞の基となる神経幹細胞の運命決定を司る新規タンパク質Matrin-3を発見し、神経発生メカニズムの一端を明らかにしたと発表しました。
 Matrin-3を欠失すると神経幹細胞は神経細胞への無秩序な分化を引き起こし、脳の層構造を破綻させることから、Matrin-3が脳の発生において神経幹細胞の維持に重要であることを世界で初めて明らかにしたものです。
 Matrin-3の遺伝子変異が家族性筋萎縮性側索硬化症を引き起こす責任遺伝子であることが判明しています。その結果として、神経分化を制御する因子の機能不全やシグナル伝達をオン・オフする機能の崩壊が正常なシグナル伝達と脳発生を損ない、神経系の障害をもたらしていることが考えられています。今回の研究成果は、家族性筋萎縮性側索硬化症のメカニズムを解明する重要な手がかりになる可能性があると報告されています。