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忘れた記憶を復活させる薬を発見:北海道大学・京都大学・東京大学(2019.1.12)

 北海道大学大学院薬学研究院の野村洋講師、京都大学大学院医学研究科の高橋英彦准教授、東京大学大学院薬学系研究科の池谷裕二教授らの研究グループは、脳内のヒスタミン神経を活性化する薬が記憶に与える影響をマウスとヒトで調べた結果、記憶テスト前にヒスタミン神経を活性化すると、忘れてしまった記憶でも思い出せるようになることを見出したと発表しました。
 脳内ヒスタミン神経を活性化することで記憶を思い出す力を向上させて、忘れた記憶を回復させられるか検証しました。マウスにおもちゃを見せて、おもちゃの形を学習させる方法で、通常のマウスは1週間経過するとおもちゃを思い出せなかったものの、ヒスタミン神経系を賦活化する薬を与えるとおもちゃの記憶を思い出すことができました。このデータをもとに、同種の薬物がヒトの記憶成績を向上させる効果があるかを38名の参加者を対象として調べました。あらかじめ参加者にはたくさんの写真を見せ、記憶テストでは再びたくさんの写真を見せて写真を覚えているか質問しました。その結果、同薬によって正解率が上昇し、もともと記憶成績が悪い参加者ほど薬の効果が大きいことがわかりました。