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久山町研究で認知症のバイオマーカーを発見:九州大学(2018.12.22)

 九州大学は京都医療センターとの共同研究で、久山町研究の追跡調査の成績を用いて血清sTREM2値の上昇が認知症発症と密接に関連することを発表しました。sTREM2は脳内炎症におけるミクログリア活性化の指標であり、sTREM2遺伝子の変異が認知症の発症に寄与することや認知症初期から脳脊髄液中のsTREM2が上昇することが知られていたものの、血清sTREM2値と認知症発症の関係は解明されていませんでした。
 本研究では、認知症のない福岡県久山町の高齢住民約1300名を10年間前向きに追跡し、血清sTREM2レベルと認知症発症の関係、血清sTREM2が認知症発症の予測能に与える影響を検討。その結果、血清sTREM2値の上昇に伴い、全認知症、アルツハイマー型認知症、血管性認知症の発症リスクはいずれも有意に上昇することが判明しました。さらに、既知の危険因子と血清sTREM2値を組み合わせることにより、将来の認知症発症の予測精度が有意に改善することを明らかにしました。