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ウォーキングで高齢者の思考力低下を改善:デューク大学(2018.12.25)

 アメリカのデューク大学の研究チームは、高齢者が1週間に3回、ウォーキングをしたり自転車をこぐと、加齢に伴う思考力の低下を改善できると発表しました。
 この研究は、心血管系疾患の原因となる高血圧などの症状がある成人160人を対象に、6か月にわたって実施されました。いずれも運動をしたことがなく、意思決定の問題や、記憶力や集中力の低下など認知機能に関連した症状が確認されていて、平均年齢は65歳、性別は女性が3分の2を占めていました。ただし、認知症と診断された人や、運動のできない人は除外されています。
 被験者は4つに分け、1グループは塩分や脂肪分を減らして野菜や果物などを増やす食生活、2グループは運動のみを取り入れて前半3か月はリハビリ施設で週3回のウォーキングまたは自転車漕ぎの軽い運動、後半は自宅で運動を続けてもらいました。3グループは週3回の運動と塩分や脂肪分を減らして野菜や果物などを増やす食生活、4グループは心血管系疾患のリスク低減について助言をするだけで食生活や運動しない習慣を変えませんでした。
 実験の開始前と終了後に、それぞれ認知力検査やランニングマシンを使った体力測定、食生活診断を受け、血圧と血糖値を測定しました。その結果、運動のみを行ったグループは運動をしなかったグループに比べて、計画的に物事を遂行できる実行能力が大幅に改善していました。塩分や脂肪分を減らして野菜や果物などを増やす食生活だけで運動をしなかったグループは、統計的に思考力の改善は見られませんでした。塩分や脂肪分を減らして野菜や果物などを増やす食生活と運動を組み合わせたグループは大幅な改善がみられ、ウォーキングなどと同時に食生活を改善すると脳の実行機能年齢は9歳も若返ると報告しています。