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ストレスでタンパク質合成が止まる仕組み:理化学研究所(2019.5.8)

 理化学研究所は、ストレスによって誘導される翻訳開始因子elF2のリン酸化がタンパク質合成を抑制する仕組みを解明したと発表しました。
 細胞は紫外線などのストレスにさらされると、タンパク質の合成反応である翻訳を停止して、細胞活動の負荷を下げることが知られており、細胞がストレスを検知すると翻訳開始因子elF2がリン酸化されます。通常ではelF2は別の翻訳開始因子elF2Bによって活性化されて翻訳を開始しますが、ストレスを受けてリン酸化されたelF2はelF2Bの機能を阻害する分子へと変化して、活性化elF2が減少して翻訳が抑制されます。
 この変化はelF2の一か所のリン酸化で生じるものですが、elF2BによるelF2の活性化、リン酸化によるelF2によるelF2Bの機能阻害の制御を切り替える分子機構は長らく不明でした。elF2とelF2Bの複合体の立体構造を解析したところ、リン酸化したelF2はelF2Bへの結合の向きを反対側に切り替えてelF2を活性化できない複合体を形成し、elF2Bの機能を阻害することを明らかにしました。