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慢性の脳血流低下がアルツハイマー病を加速させるメカニズムを解明:東京大学(2019.3.6)

 東京大学医学部附属病院神経内科は、高血圧や糖尿病による動脈硬化が慢性的な脳血流低下(慢性脳低灌流)を引き起こし、高齢者のアルツハイマー病を加速するメカニズムを明らかにしたと発表しました。
 慢性脳低灌流はアルツハイマー病に関わるアミロイドβによって構成された老人斑の形成も促進することがわかっているものの詳細な機構は不明でした。アルツハイマー病のモデルマウスに対して持続的に脳血流の低下を生じさせる処置を施して、脳内のアミロイドβの状態の変化を検討したところ、処置を受けたマウスは大きな老人斑がみられたのに対して、アミロイドβは変わらないという結果でした。
 処置を行ったマウスの脳でも、バラバラに存在していたアミロイドβが集まって、より毒性の高い高分子量アミロイドβオリゴマーを形成していることが判明しました。これは慢性脳低灌流が脳の細胞と細胞の間を流れる間質液の動きがゆっくりとなった結果、よどんだ間質液の中でアミロイドβアミロイドβ同士がくっつきやすくなったことが原因であると考えられています。