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遺伝性認知症で起こる脳内異常を解明:量子科学技術研究開発機構(2019.2.25)

 量子科学技術研究開発機構は、順天堂大学と共同で認知機能障害と運動機能障害をきたす遺伝性の前頭側頭型認知症患者の生体脳に蓄積するタウを可視化して、蓄積量が病気の進行の速さと関連すること、非遺伝性の認知症や神経難病と同様に、タウの蓄積に遺伝的・環境的要因が影響することを明らかにしたと発表しました。
 前頭側頭型認知症は前頭葉や側頭葉の神経細胞死によって萎縮していく特徴があり、アルツハイマー型認知症とは異なり、40〜60歳代で発症することが多く、初めは自発性の低下や行動の異常が目立ち、認知機能障害が現れるのは病気が進行してからとなるため、早期に診断して適切な治療をすることが難しい病気とされています。
 単一の遺伝子異常によってタウの脳内蓄積が起こす遺伝性の前頭側頭型認知症の患者を対象にタウ蓄積の量や分布、臨床症状、症状進行の速さとの関連を調べたところ、遺伝的素因がよく似ていても家系によって病気の進行の速さには個人差が大きいことがわかりました。病気の進行が緩やかな家系においてはタウ蓄積が脳幹部や側頭葉内側部など一部の脳領域に限局して蓄積量も比較的少なく、病気の進行が速い家系においては広範な脳領域にタウが多く蓄積していることが見出されました。