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虫歯・歯周病と脳卒中・認知症との関連を検証する研究開始:国立循環器病研究センター(2018.11.3)

 国立循環器病研究センターは、コラーゲン結合タンパクを菌体(Cnm)の表層に発現するう蝕原性細菌(Cnm陽性S.mutans)と脳卒中・認知機能障害との関連を検証する多施設共同研究を開始したと発表しました。
 う蝕(虫歯)の原因となる細菌の中でS.mutansは最も一般的な細菌で、Cnmと呼ばれる特殊なタンパク質を菌体の表層で発現しているCnm陽性S.mutans保菌者は、そうでない人に比べて脳出血、特に脳の微小出血が有意に多く見られることが明らかになりました。さらにCnm陽性S.mutans保菌者は単語を思い出しにくくなることが報告されており、認知機能障害との関連も示唆されています。
 我が国のCnm陽性S.mutans保菌率は10〜20%といわれ、保菌者への治療介入が実現した場合には年間3万人の脳微笑出血が予防可能と推定する研究や、高血圧が原因と考えられてきた脳出血の26%でCnm陽性S.mutans感染がみられたことを明らかにした研究もあり、治療介入による脳出血予防の可能性が示唆されています。研究では300例を陽性群と陰性群に分けて2年間観察し、主要評価項目・副次評価項目が確認されます。さらにCnm陽性S.mutansの評価に加えて他の主な歯周病菌の抗体価も測定して、う蝕・歯周病と脳卒中・認知症発症との関連が検証されます。