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軽度認知障害における認知機能低下の加速因子:東京大学(2018.9.12)

東京大学では大規模調査として234名の物忘れを主体とする軽度認知障害の被験者の認知機能を、最長3年間追跡した結果、性差、教育歴が軽度認知障害の進行に影響することを見出しました。これよって女性の軽度認知障害被験者の認知機能は、男性に比べて早く悪化していることがわかりました。
 軽度認知障害と診断された234名のうち女性はほぼ半数の118名で、平均年齢は男性が72.8歳、女性が72.9歳でほぼ同じでしたが、平均教育年数は男性が14.1年、女性が11.9年と男性が上回っていました。3年間で軽度認知障害から認知症レベルに到達した率では男性が44%、女性が60%と女性のほうが高率で認知症に移行していました。アルツハイマー病の遺伝要素も調べられていますが、危険因子の率に大きな差はなく、アルツハイマー病の有無ではなく、それ以外の要素で女性のほうが早く進行していたと推定されています。日本人は高血圧や糖尿病、脂質異常症などの生活習慣病の改善が軽度認知障害から認知症への移行の抑制に有効であり、その効果は女性に顕著であると考えられています。